弁護士にできること 不動産借主の自死

一軒家や分譲マンションでの自死事案における事件処理の流れ

1 はじめに

一軒家や分譲マンションでの自死があったとき、後日当該物件を売却する際に自死の事実を告知する義務があるか、また、仮に告知しないで売却した場合に遺族に損害賠償義務が発生するかが問題となります(これらを総称して「売買事案」と言います。)。

2 自死直後の遺族の対応

賃貸事案と異なり、自死後すぐに対応しなければならない事項はそれほどありません。周囲に自死の事実を伝える必要も無いでしょう。

3 一軒家やマンションを売却する際の留意点

そのまま居住を続けている限りは、特に法的な問題は発生しませんが、売却する場合には売主や仲介会社に自死の事実を伝える義務があるか否か(告知義務の終期)が問題となります。

4 分譲マンション特有の問題点

分譲マンションの階段やエレベーターなど、共有部分で自死した場合について、「他の居住者や管理組合から損害賠償を受けるのではないか。」といった相談を受けることがあります。

このようなケースはまだ稀で、基準となる裁判例も存在しないため、実際にそのような請求が行われた場合に個別に対応するしかないと思われます。また、請求する側からしても、共有部分の評価額の算定等、技術的に困難な問題が複数発生することが予想されます。

5 弁護士への相談

不動産を売却する際に、一度専門家に相談することをお勧めします。

6 弁護士への依頼

自死の事実を黙って売却してしまい、売主から損害賠償請求を現実に受けている場合には、弁護士に交渉や裁判を依頼することが考えられます。